~両国生はどんな未来を創っていくのか?~
両国の先輩たちは、受検、附属中、高校生活を通してどんな経験をし、どんな未来を切り拓いていくのでしょうか?
「両国オールイングリッシュ授業のリアル」でお話を伺った鈴木 悟先生の教え子である、117期卒業生のお二人にお話を伺いました。
森 優久(もり ゆうく)さん
University College London 社会科学専攻
大澤 亮介(おおさわ りょうすけ)さん
東京大学 工学部 システム創成学科3年
1)中学受検を振り返って思うこと
大澤さん
受検については、親から提案され自分で決めました。小5の終わり頃から塾に週1~2回通いました。両国には硬式テニス部があったことが受検のモチベーションになっていたと思います。
習い事は2つほどやっていましたが、勉強と平行して続けました。
入学後に感じたことですが、両国には水泳のジュニアオリンピックやピアノコンクールに出ていたりと、一芸に秀でた同級生もいて、勉強も習いごとも並行して取り組むことができる生徒が両国に向いているのではないかと思いました。
受検を通して得たものは、自分で目標を決め、そこに向けて努力して達成したという経験だと思います。
森さん
受検は母から勧められ、当時は従順な性格だったこともあり(笑)言われるがまま勉強していた感じでした。学校以外では、通信教育で勉強していました。自ら望んでやっていたわけではありませんでしたが、母の手厚いサポートもあり、大変でしたが頑張って勉強していたと思います。
習い事はサッカーを小2から小6まで続けていました。
受検を通して得たものは自己肯定感だと思います。受検という大きな挑戦を、紆余曲折ありつつも進めたことは大きな自信につながりました。その積み重ねがあったから今があると思っています。
2)中学校生活を振り返って思うこと
大澤さん
部活動を中心に行事や委員会活動を頑張っていました。勉強はしていませんでしたが(笑)成績は良かったので自分が通用することが分かって自信になりました。課題は学校で終わらせていたので、多くて大変というイメージはありませんが、(数学の)完成ノートには追われていました。
授業で面白かったのは英語です。反省点としては、学校の授業でやらないような勉強や活動をもっとやっておけばよかったと思っています。特にもっと本を読んでおけばよかったです。
また、当時の学年主任だった黒﨑先生から「当たり前のことを当たり前にできるようになろう」と繰り返し言われていたのですが、その時はそんなの簡単だろうと思っていました。
ところが、大学に入ってみると、全然指示を聞いていなくて、「いつまでにレポートを出しなさい」「こういう形式で書きなさい」と言っても、できない人が結構います。今になってみると、大事なことを教わっていたんだと感じています。
森さん
自分は繰り上げ合格だったので、勉強についていくのは大変だろうと思っていましたが、定期テストを数回受けてみると、学年での順位はいい位置につけたので、頑張ればいけるという実感がありました。課題は多くて夜遅くまでやったりしていました。先生から勉強を1日2時間やるように言われていたので、律儀に守ってやっていました。「何分やった…何分やった…これで120分だ!」という感じでつぶさに計算していた記憶があります(笑)。完成ノート…大変でした。
勉強以外では、合唱コンクール委員を頑張っていました。
また、中2、中3で英語劇に取り組んだのですが、その活動のなかで、人との接し方に変化がありました。それまでは敬意を示したいがために常に人と敬語で話をしていたのですが、それだとなかなか人との距離が縮まらないことに気づき、接し方を変えたところ、人との距離が縮まるようになりました。ちなみに中3では主役を務め、都大会で優勝できたことも大きな自信になりました。
3)オールイングリッシュ授業について
大澤さん
大学に入ってみて思いましたが、英語ができる人はたくさんいますが、話せる人はそれほどいるわけではありません。帰国子女は別として、普通に勉強してきた人はそれほど話せるわけではありません。
英語での発表を嫌ったりする人も多いなか、自分は英語での発表に抵抗がありません。
それはやはりオールイングリッシュ授業のおかげだと思っています。
森さん
英語はコミュニケーションツールなので、文法から入るのではなく、「使える英語」を教えてくださった先生方に感謝しています。
オールイングリッシュ授業のおかげで、英語が「分かる」だけでなく「使える」ようになったと感じています。オールイングリッシュ授業の積み重ねによって、英語は『使うものなんだ』という印象を持ち、それが留学や進学につながったと思います。
4)留学について
お二人は、東京都教育委員会が実施している「次世代リーダー育成道場」に参加し、高1の8月~高2の6月まで、それぞれアメリカの異なる州に留学されたそうです。
大澤さん
留学する前、英語の授業で黒人差別問題について学んだ後、鈴木先生から『アメリカには英語を学びに行くのではないことは、はっきりしたね』というメッセージをもらい、留学は英語を勉強することだけが目的ではなく、文化を学ぶことにあるとわかりました。高校でそういう経験ができたことは大きかったと思います。
また英語を勉強するにも一番いいタイミングであったと思います。今では外国人と話すことに全く緊張しませんし、海外で働くことにも抵抗がなくなりました。留学で人生が変わったとは思いませんが、人生の選択肢が増えたと思います。
森さん
留学はエリートの人たちが行くものだと思っていて、憧れはあったものの自分の事として捉えていませんでした。
しかし、母に背中を押され、実際に行ってみたら、自分でもコミュニケーションが取れる、楽しい、受け入れてもらえる、という体験をしたことで、「日本にとどまらず、海外に行っていいんだ!」という大きな気づきを得ました。
留学から帰ってきたあとも、日本より海外の方が自分にとって学びが大きいと思うようになりました。この経験は自分の殻を破るチャンスになり、人生のターニングポイントになりました。
5)高校時代を振り返って思うこと
森さん
高校時代で一番大きいのはやはり留学ですが、留学から帰ってきてからは海外の大学への進学を見据えながら、楽しい青春時代を送っていました。
合唱コンクールでは委員長を務め、リーダーとしての在り方を学びました。高3のときには応援団に所属し、チームの和ませ役?!(笑)として活動していました。美術部と合唱部は縦のつながりがあり、今でも交流があります。
~鈴木先生よりコメント~
次世代育成道場に参加して入学時の学年に戻るのは特殊なケースで、大抵は派遣時の学年(1つ下の学年)に戻ります。
6)大学受験を振り返って思うこと
大澤さん
高校で留学に行ったことで、特に理系科目は後れを取ってのスタートでしたが、物理は当時の担任だった工藤先生がマンツーマンで補習してくださいました。他の科目も自ら先生に質問しに行ったりすることでキャッチアップできました。
高1では留学、高2では学校生活を楽しんだので、部活引退後は割り切って「じゃあ受験だ!」とそこからギアを入れていきました。自分は塾に通っていなかったので、基本的に学校で勉強して、分からないところは先生に聞いたり、採点してもらったりしました。自主的に先生に頼ると先生は力を貸してくれます。
また、「team両国」という言葉がありますが、同じ目標を持つ仲間と分からないところを教え合ったり、模試の反省会などをしたりするのはとても楽しかったです。
森さん
国内にいる状態よりも大きな成長を求めて海外の大学への進学を目指したので、日本の大学受験とは異なる対策が必要でした。
海外の大学受験は自己PR、志望理由書などを用意するのですが、鈴木先生やALTの先生に大変お世話になりました。また、課外活動が評価されるので、ディスカッションコンテストや選挙ボランティア、清掃ボランティアなどに積極的に参加しました。
自分の場合、同じ目標を共有できる人はいなかったのですが、目標が違っても仲が良く落ち着けるメンバーと毎日一緒に切磋琢磨できたのは楽しかったです。
7)大学生活について
大澤さん
大学は自由度が高いです。授業の取り方、サークル活動、アルバイト、インターンシップ、団体活動、旅に出るなど…様々なことを自分の意思で選ぶことができます。それを生かすも殺すも自分次第だと思います。
また、大学では色々な人との出会いがあります。東大には優秀な人がたくさんいて、いい刺激をもらっています。新型コロナの影響で1年目はかなり自由を制限されましたが、これからどれだけ外に出ていけるかは個人差が出てくるところだと思います。
森さん
アメリカ留学ではホームステイでしたが、現在は一人暮らしなので、たくましくなったと感じています。格安スーパーに行って買い物をするのですが、鶏むね肉の方が鶏もも肉より高いなど、様々なカルチャーショックを受けながら生活しています。今は週1回バイトで公園などの出店でケーキを販売しており、人種や宗教が異なる人と雑談をすることで多様な考え方に触れる機会を作っています。
大学では社会科学を学んでいます。例えば人間関係では共通点が多い人の方が仲良くなりやすいなど、現実世界で起こっていることをパターン化して見られるのがとても面白いです。中・高で学んだ教科の下積みがあって、現在さらに専門的なことを学び始めたわけですが、今まさに学問と社会がつながったと感じています。
今は4か月間の長期夏休みを利用して、日本でエイチラボ(HLAB)やピジャス(PIJAS)という団体に所属し、イギリスの大学に進学したい日本の高校生の支援や、サマースクールの実施などで全国を飛び回っています。大学は自分から動こうとしないとサポートをしてもらえません。自分から能動的に動くことが必要だと思います。
8)在校生へのメッセージ
大澤さん
黒﨑先生の言葉をお借りしますが、当たり前のことを当たり前にできるようになろう!与えられたものをきちんとこなすことが大切だと思います。
そして…本を読め!自戒の念を込めて言います(笑)。学校内だけでなく、国内外の様々なものに目を向けて、後悔しないようにやりたいことをやってください。
森さん
行事を楽しんでください。青春時代は1回しかないので、せっかくやるなら精一杯楽しんで良い思い出を作ってください。自分の成長や良い人間関係につながると思います。
そして、両国のオールイングリッシュ授業は「使える英語」を習得するにはとても良いカリキュラムなので、無駄にすることのないよう、存分に活用して英語力を身に付けてほしいです!
先輩方
たいへん参考になるお話をどうもありがとうございました。
ますますのご活躍を楽しみにしています!