高1保護者向け進学講演会が視聴覚室で開催されました。
視聴覚室での参加 約60名、WEBでの参加 約120名以上(中3保護者も含む)と、
保護者の皆さんの関心の高さがうかがえました。
講演に先立ち老沼後援会会長、金田校長よりご挨拶いただきました。
❑第一部
進路部主任 奥村大地先生(テーマ:「大学入試制度のキホン」)
大学入試の3つの方式と現在の大学入試の動向について詳細にお話しいただきました。
■ 大学入試の3つの方式
(1)一般選抜
国公立では【共通テスト+個別試験】、私立大では【独自試験3教科】が主流の、学力で行われる選抜です。
国公立大学の一般選抜は、【共通テスト(第一次試験)+個別学力試験(第二次試験)】となっており、個別試験は、前期、中期(一部の国公立大学のみ)、後期の日程がある。
(2)学校推薦型選抜
高校3年間の活動を評価される入試です。出願条件は、【一定値以上の評定平均+学校長の推薦】が主流。
試験内容としては【書類審査、面接など】。
(3)総合型選抜
学校推薦型選抜の校長の推薦が必要ないものと思っていただければいいと思います。
※学校推薦型選抜、総合型選抜では、共通テストを課すもの、課さないものなどある。推薦入試でも基礎学力を見られる場合があるので注意。
※指定校推薦(学校推薦型選抜)の出願要件は厳しく、両国の指定校推薦出願要件を満たす生徒は、一般受験で東大を十分狙える生徒。指定校推薦ではなく、自分で大学を選んでワンランク上の大学に進学してもいいのではと思います。
3つの方式を説明してきましたが、近年の動向は、全体としては一般選抜と推薦が五分五分になってきていますが、国立大の主流はまだ一般選抜です。
■ 大学入試の動向
定員増の中、受験人口はどんどん減っています。選ばなければ、誰でも大学に入れる時代、国際的競争力の向上に向かう学校と入学人数の確保に向かう学校の2つの傾向に分かれてきている。
文理融合学部の新設や理工系の女子枠の拡大、私立大入試制度では、得意科目を重視したり、全学部同じ問題で同じ日に試験を行ったり、入試自体も多様化している。
学校としては、第一志望の学習意欲の高い生徒求める傾向にあるので、面接で明確な意思を確認できる推薦型選抜の定員を増やしています。
奥村先生からのメッセージ
高1のいま、「第一志望の大学」と「そこでやりたいこと」を探してほしい。
「なぜその大学が第一志望なのですか?」「そこでやりたいことは何ですか?」
❑第二部
両国高卒業生社会人先輩方による座談会
(テーマ:「文理選択のその先へ」)
社会人から大学院生という幅広い世代の4人の卒業生にお集まりいただき、文理選択その先について、今だから話せる高校時代の思い出話や当時抱いていた保護者へのお気持ちをお話しいただきました。
Yさん 107期 国立大文系卒 IT企業勤務
Q. 高校1年のこの時期に文理選択で悩まれましたか?
悩まなかった。中学時代から数学が夢に出るほど苦手ということもあり、消去法で文系を選択した。
Q. 文理選択の際、保護者の方に相談はしましたか?
自分で決めました。
Q. 文理選択は保護者に相談しなかったということですが、優秀な皆さんだったからではないでしょうか?という声が現役保護者聞こえてきそうです。こちらについて何か一言お願いします。
高校生は自分で決めたい、やりたいという意思があると思うので、生徒さんの意思を大事にしてあげるのが一番いいと思う。しかし、非現実的なことなどは正しくアドバイスをしてあげると良いと思う。親が決めたから親が悪いんだというような逃げ道を作らないように自分で決めさせる。
Q. 両国高校の使い方。文理選択や進路で悩んだ際、先生方に相談はされましたか?先生からのアドバイスはありましたか?
両国高校にいる先生方は、どの先生も研究や探究、学問が好きな先生が多いと思う。その中で私の場合は、モチベーション面を励ましていただいた。知識が深くユーモアがある先生が多いので、助けをいただくことだけでなく、お話をすることも良いと思う。
Q. 高1、中3の保護者に向けて、学習面、生活面など高1でやっておくべきことのアドバイスをお願いします。
高1高2の時期に重点的に勉強した。予習ではなく復習の時間をたくさん設けることで、忘れて思い出すという作業が後々受験期に役立った。社会科が好きで、社会、政治学、法律の方面に行きたいと思っていたが、細分化して、法律ってどんなことを勉強するの?そもそも大学の勉強って?ということをもっと調べても良かったかなと思う。
Q. 高校生当時、保護者にしてもらってよかったこと。
親からとやかく言われたことはなかった。ただ、「実家から通える範囲の関東県内の大学に進学。」「国立か公立に絶対現役で合格。」という厳しいルールだったので、プレッシャーで受験期は若干ナーバスになった。しかし、その中で「どこの大学のどういう学部に行くかは自分でしっかり考えなさい」と言われたので、ある程度自分で決めたと思っている。塾に通っていたので、塾の費用を出してもらったり、お弁当や夜食を作ってもらったり、今考えるとものすごいサポートをしてもらった。表立って目立ちすぎずに縁の下の力持ちとしてやっていただくのが一番いいのでは。
Hさん 109期 国立大文系卒 電機メーカー勤務
Q. 高校1年のこの時期に文理選択で悩まれましたか?
悩んだ。 当時、将来やりたいこととして考えていたことが金融業界と医療系で、文系と理系と分かれていた。結果として、生物や化学が苦手と思い、文系に進んだ。
Q. 文理選択を悩まれたお2人は、文理選択の次にくるものとして受験校と学部の選択で悩まれましたか?
迷わず経済学部を選んだ。文理選択でやりたいことを考えたときに世の中の仕組みやお金のことを学びたいと思ったので。当時、経済学部の数学受験は倍率が下がる傾向にもあったので、その点も含め選んだ。
Q. 文理選択の際、保護者の方に相談はしましたか?
自分で決めました。
Q. 地方の国立大学に進学されましたが、保護者の方にはいつ頃地方に行きたいと相談されましたか?東京を離れるということに不安や迷いはなかったでしょうか?
不安はあったが、楽しみが大きかったと思う。自分自身で決めたので迷いはなかった。母親は心配していたはず。具体的には、親には高2の冬に受験したいと伝えた。 たまたま高2の冬にその大学を見に行く機会があって、一目惚れをして絶対受験すると決めて相談した。 親は比較的応援してくれたが、一人暮らしをするにあたりどのくらいお金がかかるかなど、しっかり相談したうえで親には納得してもらえたのかなと思う。仕送りは、学費と家賃は払ってもらっていたが、生活費は自分の意志でもらっていなかったため、その時の貧しい経験も貴重な財産になっている。一人暮らしはお金がかかるので、親御さんとよく話す必要はあると思う。
Q. 高校2年生で大学の生活費用まで親御さんにプレゼンできた秘訣は?
最初からできたわけではなく、父親との会話の中で徐々に考えるようになり決まった。
・なぜその大学に行きたいのか?
・経済ならほかの大学でも学べるのではないか?
・一人暮らしはどのくらいお金がかかるのか?
と質問されて、自分で調べ伝え、会話の中で自分の気持ちが伝わったと思う。当時父は、否定をしていたのではなく、聞くことによって私の覚悟や決意を試していたと思う。自分で親を説得して進学したのだから、辛いことがあっても思い返して頑張る原点になったと思う。
Q. 両国高校の使い方。文理選択や進路で悩んだ際、先生方に相談はされましたか?先生からのアドバイスはありましたか?
正直、進路の相談は全くしなかった。ただ、学習面のサポートは手厚いと先輩方からもうかがっていて、赤本、国立大学の記述式とかについても、わかるまで親身にサポートしてくれた。長期休みに進学塾なみに講座を開いてくれた。熱意のある先生がたくさんいてお世話になった。感謝しかない。
Q. 文理選択について、改めて今の高1生にアドバイスをお願いします。
文理選択を重く考えることない。私の業務は文理関係なく従事している。理系の方もいるし、経済学部を出たから今の業務に従事しているという訳ではない。大学に進学するとやりたいことも興味も変わる。医学部に進んだからと言って医者にならない人もいる。良い意味でリラックスして、軽く考えてほしい。
Q. 高校生当時、保護者にしてもらってよかったこと。
私の両親も、良くも悪くも私のことに口は出さなかった。ただ、アドバイスを求めたり相談したときはちゃんと相談にのってくれて、裏方でサポートしてもらったと思っています。親御さんからすると、「否定しないということは子供の言うことをそのまま鵜呑みにすることなのか」というとそうではないと思っていて、子供と異なる意見の場合は、あくまで押し付けるのではなく、お互い納得いくまで対話をしてほしいと思う。
Sさん 117期 国立大文系卒 証券会社勤務
Q. 高校1年のこの時期に文理選択で悩まれましたか?
悩んだ。経済に興味があり経済学部に行きたいと思っていた。もともと算数や数学が得意で、経済学部であれば理系で受験できるところもあると知っていたので迷っていたが、当時の担任の先生に 「経済学部なら文系がいいのではないか」とアドバイスをもらい文系を選択した。
Q. 文理選択を悩まれたお2人は、文理選択の次にくるものとして受験校と学部の選択で悩まれましたか?
経済と思っていたので学部では悩まなかった。受験校でいうと大学院に行きたいと考えていたので。
経済の大学院=海外の大学院に行きたい、それなら、日本で一番の大学を目指した。
Q. 文理選択の際、保護者の方に相談はしましたか?
自分で決めました。
Q. 両国高校の使い方。文理選択や進路で悩んだ際、先生方に相談はされましたか?先生からのアドバイスはありましたか?
私は、先述どおり文理選択の時に相談をしたが、高3の受験期になってから試験の添削をお願いした。地理の記述の添削は受験するのが一人だったため、マンツーマンで対応してもらった。両国は歴史があるので、毎年数名東大合格者があり、先生方にもノウハウがたまっているので活用できる。
Q. 文理選択について、改めて今の高1生にアドバイスをお願いします。
文理選択を重く考えない。やりたいことってそんなに簡単に見つからない。今やりたいことと5年後にやりたいことは変わってくるかもしれない。やりたいことから選ぶことからもですが、いろんな優先順位がある。例えば、このキャンパスに行きたい、この地域に行きたい、このサークルに入りたい…。別にやりたいことだけでなく、自分の優先順位で文理を決めても問題ない。
Q. 高校生当時、保護者にしてもらってよかったこと。
お弁当を作ってもらった。私は家で全く勉強せず、学校と図書館でしていたので、そういう意味では心配をかけたかもしれないが、家でダラダラしていても全く何も言わずに接してくれた。全力を出せる環境を作ってくれた。 総合型選抜はどういう実績を出すか、どういう取り組みをするかが主になると思うので、狙うのであれば保護者の方の協力が必要となってくるので、高1、高2の時期であっても、勉強のことだけでなくお子さんのやりたいことを手助けしてあげてほしい。
Oさん 117期 国立大理系卒 同大学大学院に在学中
Q. 高校1年のこの時期に文理選択で悩まれましたか?
悩まなかった。 エネルギー関係の勉強や研究に興味があったので、工学部を目指すため理系を選択した。得意分野でいうと、英語や社会と文系寄りで、言語などに興味もあり、文理選択後にそういった学部を考えた時期もあったが、やはり理系にした。
Q. 今振り返って学部選択に思うこと、後輩へのアドバイス
学部選択は、得意科目や苦手科目だけで選ぶよりも、やりたいことで選ぶのが良い。
【理由】大学と高校の勉強・学問はギャップがあることが多い。 高校数学が得意でも大学数学が得意とは限らないし、経済学(文系)で、数式や微分積分もいっぱい使う。数学をやらなくていいわけではない。
▼バランスが大事
得意、不得意で選ぶとどうしてもおろそかになる科目がでてきてしまう。大きな穴があると大学に入って他に勉強したいと思った時に困るかもしれない。
▼モチベーションにかかわる
数学ができないからとなんとなく文系に決めてしまうと、受験期や入学後にモチベーションを維持するのが難しいと思う。
Q. 文理選択の際、保護者の方に相談はしましたか?
自分で決めました。
Q. 両国高校の使い方。文理選択や進路で悩んだ際、先生方に相談はされましたか?
先生からのアドバイスはありましたか?
僕は、学校のリソースをフル活用させていただいた。次世代リーダーで留学して戻った時も下の学年ではなく自分の学年に戻ったので、その補習などでもお世話になったし、受験期には添削をしていただいたり、土日も自習室を開けていただいたりした。東大は記述が多く、塾に行っていなかったので、先生方に添削などお世話になった。自分からお願いすれば快く引き受けてくださると思う。東大に受かった同期5人のうち、4人が学校で勉強していた。
Q. 高1、中3の保護者に向けて、学習面、生活面など高1でやっておくべきことのアドバイスをお願いします。
先生方と仲良くなる。いろいろな先生と良好な関係を築くと、質問や添削をお願いしやすくなる。高1高2は、自分のやりたいことを全力でやる。高3になってスパッと切り替える。 やっておいたほうがよかったと思うことは、時間があったのでもっと本を読んでおけばよかった。特にやりたいことが見つからない生徒は、本や新聞を読むといいと思う。
Q. 高校生当時、保護者にしてもらってよかったこと。
毎朝、お弁当を作ってもらった。塾には行っていなかったが、参考書など必要なものを自由に買わせてもらい、勉強に集中できる環境を作ってもらった。親が進路や勉強に過干渉するのは個人的にはあまり良いことと思っていないので、お子さんが全力を出せる環境づくりをしてあげるのが一番大事だと思う。高3にもなれば、自分で勉強計画を立てるとか志望校の受験日を調べるとか、受験に限らず自分で責任をもつことが大事だと思う。
高1学年主任 三橋裕子先生ご挨拶
高1の頭から進路決定に向けていろいろ取り組みを行ってきました。
1学期:自分の好きなこと、興味関心、特性などからそこにつながる学部学科、将来の職業を考える。自己実現をするための学部学科は何だろう?と、外部講師をお招きするなどを して皆で考えました。
夏休み:オープンキャンパス
2学期:選択科目を決定する時期になりました。
10月末までに予備調査。11月に三者面談。12月中旬に2年次選択科目を決定。
2学期にいろいろな方から選択科目決定のアドバイスをいただきましたが、どの方も「自分で決める」。 「自分で決めたことであればそこに向かって努力していけるし、どのような結果になっても自分で責任をもてる」 というようなアドバイスをいただき、生徒たちも目の色が変わるようなかたちで選択科目、その先を考えています。
多くの生徒が決まってはいますが、まだ悩んでいる生徒もおりますので、中間考査後も面談等を行って、一緒に考えていければと思っております。保護者の皆様には、「今、それぞれがどのような思いを持っているのかを聞いていただきたい。」 自分の考えや気持ちを整理して伝えるというだけでも全然違うと思いますので、三者面談の前にそういったお時間を取っていただきたいと思います。
~座談会終了後の交流会~
30名ほどの方が残り、5つのテーブルに分かれて交流会が行われました。
▼先輩方と奥村先生への質問は、下記のようなものが出ていました。
・模試の活用の仕方
・次世代リーダーでの過ごし方
・親としてどう接したら良いか
・ゲーム、スマホ自制できたか
▼会場にいた保護者の中で、ご存じなかった方が多かったこと
・毎年6月に「進路の手引き」前年度卒業生の受験体験記が高校生の生徒全員に配られているということ。
・卒業生の学年カラーの表紙(今年は水色)が生徒に手渡されていますので、お子さんにご確認ください。
▼【デジタル進路室】の中に模試の情報などがアップされている。
・Teams→両国中高生の中のチャンネル→【デジタル進路室】
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卒業生の皆さん、本日は貴重なお時間、お話をありがとうございました。
この日のためにご尽力いただきました淡交会の皆様ありがとうございました。